ブランコとバンジージャンプ

 上司と話していたときに、「そういえば、最近は、調子、どうなの?」と尋ねられた。有り体に、「相変わらず、浮き沈みが激しくて…」と言うと、「まあ、そりゃ、誰でもあるからさ。心配するなって」と。

 過眠症の話を引き合いに出しかけたが、生憎、そこで電話が鳴った。もっとも、平日でも15時間睡眠、という話しをしたところで、「誰でも、疲れているときはそんなもんだよ」との言葉が返ってきそうだ。

 その時その時の、自分の躁うつレベルと相手のそれとを、一瞬で測定・比較してみせられる、躁うつ測定機が欲しいよ。そう、おでこや耳の穴に当てると、一瞬で体温が測れるような。
 「死んでしまいたいだって?誰だって死にたいと思うことはよくあることだ…どれどれ、見せて見ろ。なに!おい!この数字、いつ線路に飛び込んだっておかしくない値じゃねぇか!1人で来たくなんかさせられるか。速く担当者をよんでこいっ!」

 せめて、「誰にでもある浮き沈み」とはスケールが違うことを理解してもらえるだけでも、かなり楽なんだが。妥当な例えかは分からないが、誰にでもある気持ちの浮き沈みが公園のブランコレベルだとしたら、うつ病患者の気持ちの浮き沈みが、バンジージャンプ級のものだとでも言ったら、イメージしやすくなるだろうか。