躁状態での暴走と、後悔と反省と

 また、やってしまった。躁状態での思慮の足りぬ行動。いつも、やってしまってから、後悔してばかり。

 振り返って見ると、一昨日から今日にかけては、間違いなく躁状態だった。昨夜は夜になっても眠くならないのをいいことに、半徹で仕事。規則正しい生活は病状の安定のために必須なのだが、仕事が押している焦りもあり、つい「待ってました、躁状態!」という感じで躁状態を「利用」してしまった。躁状態だとほとんど眠らずに活動できる。

 今日も日中の睡魔が午後になってもほとんど無かった。もっとも、全くないわけでは無い。躁状態が非常に強かった時のように、3時間未満の睡眠時間で済む日々が何日も続くようなことは無い。躁状態の波が小さくなりつつあるためだそうだが、寝不足の影響は、翌日のうちに現れる。

 だが、日中に睡魔が訪れても、それはうつ状態の時に特有の、頭のしびれや痛みを伴う、放っておけば30分も1時間も以上も熟睡してしまう眠りとは違う。ガムを噛んだり、冷水で顔を洗ったり、外の空気を吸って体を軽く動かせば改善する程度の睡魔だ。

 前置きが長くなってしまった。躁状態での思慮の足りぬ行動についての件。

 昨日は躁状態の影響だろう、張り切りすぎて、どうやら出しゃばりすぎた。今は思い切り自己嫌悪。

 職場で、「メンタルヘルス」に関連した講演会が開かれることになった。しかし、毎回この手の講演会は、聴講者が非常に少ない。せっかくの講演会、なるべく多くの方々に聴講していただきたい。しかし、このことに対する私の立場は非常に微妙である。

 まず、労働組合の役員として「メンタルヘルス」に関する対応の実施、例えば今回のような講演会などの開催を当局に対して要求する立場にある。
 このような要求は組合員共通の要求であることになる。当局に対応を求めておきながら組合員が参加しないのでは辻褄が合わない。組合の執行部役員を代表して「メンタルヘルス」の問題を含めた職場の労働環境に関する事柄を担当していることもあり、組合員に対して聴講を呼びかける立場にもある。

 その一方で話をややこしくするのは、私自身が「メンタルヘルス」に関連した疾病、躁うつ病てんかんの患者であると言うことである。

 ただ単に、労働組合の役員代表として、また、労働環境に関する委員会の一員として職員の参加を促すだけで良かったはずなのだ。しかし、出席を呼びかけるのメールの中で、余計なことを書き綴ってしまった。精神疾患者としての経験と、今回の講演を聴いて欲しいという思いとを結びつけた話を。今までの経験から恐らく躁状態がそうさせたに違いないと感じているのだが…。

 冷静に考えてみれば、「ボクやボクみたいな人に優しくして欲しいから、みんな、あの人のお話を聴いてくださいね〜」と言っていることになる。その文章を好意的に受け止めて下さった方々もおられたが、「何を自分に都合のいいことを、ここぞとばかりにアピールしているんだ」とも受け止められかねない。もしかすると、効果が無かっただけで無く、逆効果だった可能性もある。

 近年、以前に比べると私と私の病気を理解して下さる方々が、多少増えてきて下さっていると感じさせて頂けることがある。しかし、それをいいことに、「自分はうつ病躁うつ病)患者を代表して、その思いを健常者の皆さんに語らなくてはいけない」という勘違いのような、驕りのようなものを抱いてしまっている気がしてきた。もっとも、このことも躁状態の時にはすっかり忘れてしまっているのだが。

 躁状態の私にブレーキをかけてくれる自分が欲しい。うつ状態の私を励ましてくれる自分が欲しい。本当に上手く行かない。自分で自分が疎ましくてならない。

 いつまでこの状態が続くのだろう?躁うつ病緩解したら、こんな悩みも解消するんだろうか。それとも、この程度の振れ幅を持って、寛解と見なすのだろうか。

 自分のことを好きになれる日は、訪れるのだろうか?

 だが、疑問と不安もつきまとう。このような暴走と後悔は、本当に躁うつ病の症状がすべての原因なのだろうか?単に私が思慮に欠けた人間なだけでは無いだろうか?失敗の経験から学んでその後の行動に活かすこと無く、ただただ失敗と後悔を繰り返し、進歩の無い人生を歩んでいるだけではないのだろうか?そして周囲の方々に迷惑や不快感を与えているのでは無いだろうか?今回の失敗から、私は何かを学んで次の行動へと結びつけられるだろうか?それとも、こうして後悔し続けるだけだろうか?

 すべては私次第か、それとも病気次第か?いや、長年にわたって治療を続けてきたお陰で症状はずいぶん改善してきた。病気が大なり小なり影響しているとしても、やはり私自身の問題として捉え、後悔し続けることを減らし、成長せねばならないのだろう。そう書きつつ、それを成し遂げる自信が、やはり持てない…。また次も、何かの機会に後悔することを繰り返してしまいそうだ…。