認知療法の自習に挑戦(モジュール2)

 躁うつ病うつ病、名前は似ているが異なる病気。しかし、躁うつ病うつ状態の心理は酷似している。躁うつ病の治療でも、薬物療法と並んで心理療法は重要な治療法として位置付けられている。特に「認知療法」はよく用いられるカウンセリング法の一つらしい。

 長らく某大学の心理カウンセリング室でカウンセリングを受けてきたが、ここでのカウンセリングは一般的な認知療法の形式とは異なっていた。また、別の理由によるカウンセリングを受ける必要が生じたため、そちらでのカウンセリングはひとまず終了となった。

 そこで、自分で認知療法を学習・実践できる方法は無いだろうかと調べたところ、おあつらえの本が見つかった。
大野裕著「こころが晴れるノート」(うつと不安の認知療法自習帳:創元社)である(実は、ずいぶん前に似たような本を買った記憶があるのだが、散らかった部屋のどこかに行方不明である)。

 本書の認知療法の自習は、以下の6つのモジュールで構成される。
1.自分のストレスに気付く練習
2.問題をきちんと整理する練習
3.考え方を変えてやわらかいものの味方をする練習
4.問題を解決する練習
5.自分の考えを相手の人に上手に伝える練習
6.心のクセ(スキーマ)を理解して、柔軟な生き方をするためのヒント

 早速、常々感じている不安、最近改めて痛感させられた不安などのストレスをリストアップして、モジュール1,2に取り組んでみた。以下、公開するような内容では無いが、このブログがすでに、半ば「躁うつ病闘病記」の様相を呈しているので、敢えてアップすることにした(というと格好いいが、私の場合、ブログに上げておいた方が文章が行方不明にならなくて良いのである。そうでないと、冒頭で触れた本と同様、散らかったハードディスクの中に埋もれてしまうのである…(汗))

 で、以下がモジュール2を行ってみた結果。

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===== モジュール2:問題をはっきりさせよう =====

ステップ1:問題リストを作成する
●問題意識が曖昧で、よい研究アイディアも浮かばない時
●研究の進め方の基本がなっていないと思い知らされる時
●自分には到底思い付かない研究テーマ設定とアイディア、研究成果を目の当たりにした時
●自分の無知を思い知らされた時
●自分の勉強不足でみんなの議論について行けない時
●現場で、業界で、研究分野で何が重要な問題になっているのか、分かっていないと改めて気付かされる時
●これまでのブランクを埋めても、優秀な後輩には決して追いつけないと感じる時
●これまでのブランクを埋めること自体が不可能だと感じる時
●自分が話せる話題が無い時
●外部の方から「専門家」として扱われ、質問されたのに、適切な回答が出来ない時
●フィールドワークで、体力の低下を思い知らされた時
●フィールドワークそのものが楽しくなく、苦痛だと感じた時

ステップ2:解決目標を設定する
問題意識が曖昧で、よい研究アイディアも浮かばない時

ステップ3:目標が適切かどうか確認する
【チェック項目1】
●この目標は
◯重要である
◯解決可能である
◯具体性がある
◯将来につながる

【チェック項目2】
●これまでに同じような問題に直面したことがありますか?
◯はい
 いいえ

●その時にどのように対処しましたか?
にわかに研究ニーズを探そうと、論文、業界誌などを読みあさる。しかし、うつ状態の集中力・理解力の無さ、強い睡魔などが苦痛で長続きしない。
それが、躁転してしまうと根拠の無い自信から、「自分にとっては大した問題では無い。そのうち、いいテーマ、いいアイディアが見つかるはずだ」と、問題意識を持った情報収集や、最新の、あるいは過去の研究成果(論文)のレビューもおろそかになってしまう。

●それは成功しましたか?
 はい
◯いいえ

●何がよかったのでしょう?
 何がよくなかったのでしょう?

 うつ状態の集中力・理解力の無さ、強い睡魔に屈服して、情報収集や研究成果のレビューを諦めてしまっている。しかし、その状態でも、頑張れば健常者の1/10、1/20、いや、1/50のペースかも知れないが、前進していたはず。それを放棄してしまっては、一向に進歩は無い。
 ただし、躁転した時の根拠の無い自信による怠慢は、如何ともし難い。

【チェック項目3】
●もしこの目標が達成できたとすれば、どのようなメリット(利点)がありますか?
 必要な知識を習得し、適切な問題意識を持てるようになる。解決するべき問題を常に正しく意識していられれば、適切な研究テーマを設定できるようになる可能性は高まると思われる。常にそういった問題をどうやって解決するかを意識していられれば、独創的な解決方法(アイディア)も生まれるかも知れない。

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 ここまでやってみて意外と厄介だと思ったのは、躁状態による根拠の無い自信だった。根拠の無い自信により継続的な努力が中断されてしまう。これまで、うつ状態による集中力・理解力の低下が障壁になっているとばかり思っていた。躁状態だと睡魔も来ないし、集中力・判断力・決断力も増す。躁状態は仕事をする上で好都合だとばかり思っていたが、意外な落とし穴があるのかもしれない。

 躁状態で車危険な車の運転しないようにチェックシートを作成・使用しているが、職場にも同様のチェックシートを置けばよいだろうか?「うつ状態か?辛くても少しで良いから仕事をしよう。躁状態か?慢心せず、いつも味わう惨めな気持ちを思いだして勉強せよ」のような内容で。

 やはり、自分が今、どんなコンディションなのかを適切に把握し、そのコンディションにあった仕事を進めるのが肝要なのかも知れない。よく考えれば当たり前とも言えることに、今更気がついたのかも知れない。

 この後、モジュール3〜6へと進めていく中で、更なる発見、そして不安の解消方法が見つかることを期待したい。

 ただ、これを書いている現在は、どうやら軽躁状態うつ状態の時にこのモジュールに取り組んだら、まったく違う結論に至っただろう。この辺の一貫性の無さも、躁うつ病の厄介なところだ。うーむ、どうしたものか。