母の口癖

「駕籠に乗る人、担ぐ人、そのまた草鞋を作る人」(ことわざ)
(かごにのるひと、かつぐひと、そのまたわらじをつくるひと)
意味:世の中にはさまざまな境遇、職業があることのたとえ。また、世間にはさまざまな立場の人がいて、うまく社会を構成していることのたとえ。

 私の母は、しばしばこの言葉を口にしていた。何度も聞かされているうちに、子ども心にも何となく、「職業に貴賤はない」という意味だろうと納得していた。
 大学に進学しろとも、一流企業に入れとも言わなかった母らしいな、と今でも時々思い返す。そもそも、「大学って、何するところだ?」と言っていたぐらいであるから。