音楽による「診断」

 先日、運が悪ければ大事故となりかねない運転をしてしまった。それも数回も。自分でも恐くなり、かかりつけの神経科の先生に報告したところ、「別に脳の異常ではない。典型的な躁状態の症状だ」と言われた。

 何度か日記でも書いているが、私は躁鬱病を患っている。鬱状態の症状は鬱病とほぼ同じである。一方、躁状態についてはあまり知られていないように思う。
 そこで症例のいくつかを挙げると、自己過信となり無謀な行動をとる(運転も含めて)。活動的になり、次から次へ色々と頭に浮かぶ。思い立つとすかさず行動せずにはいられない。多弁で早口になる。文章もその調子で書くので、やたらと長くなり要を得ない。集中力がなくなる。等々。

 無謀運転と同じ頃、やたらと長くて要を得ないメールを何通も、オカリナ仲間に送ってしまった。医師によれば、これもやはり躁状態によるものだろう、と。

 そして、そんなメールを送ったことを、躁状態がその原因の一つらしいと、お詫びとともに報告した。
 すると、仲間の一人がこう言ってくれた。「もし、お節介でなければ、私たちが気付いたときには知らせてあげるようにしようか」と。

 ただ、私の躁状態は治療の甲斐あって、かなり落ち着いてきている(それでも無謀運転か?)。そのため、傍目には「鬱が治って元気になったね」ぐらいには見えても、「ちょっと元気すぎるみたいだけど、大丈夫?」と思われることはまず無い。妻と医師以外には。

 そこで、「私の様子がおかしいと感じる時ってありますか」と尋ねてみた。すると、一見元気なようでも、一緒に演奏していると「間違いが多いけど、集中力がなくなっているのかな?」とか、「いつもとちょっと音色が違うな」と感じることがあるという。演奏で仲間の体調が分かるとは、さすがは音楽仲間!(私などは、そんなレベルにはほど遠いが。)

 一緒に音楽を楽しめる仲間がいる幸せは、常々実感している。しかし、それにとどまらず、お互いのことを理解し合い、気遣い合える仲間がいるということを、非常に嬉しく、幸せに感じた。