神様の処方箋

 「自分は誰からも必要とされていない」と、つい先日まで深く嘆いていた私。いや、それ以前にもそう感じることは、数えきれないほどあった。恐らく、これからもあるだろう。

 しかし、そこへ非常にタイムリーに訪れてきた、私を必要としてくれた2つの出来事。些細な事ではあったが、それらの出来事によって、私は「自分も必要とされている人間なのだ」と、ちょっぴり自信をもらった。ちょっぴり自分を愛せるようになった、そんな感じもしている。

 そこへ、もうひとつタイムリーな訪れがあった。知人が貸してくれた、「マザー・テレサ 愛の言葉」(女子パウロ会)という本。その中に、

多くの人は病んでいます。
自分がまったく愛されていない
関心をもってもらえない
いなくてもいい人間なのだと……。

人間にとって
いちばんひどい病気は
だれからも必要とされていないと
感じることです。

あなたは
この世にのぞまれて生まれてきた
たいせつな人。

 というマザー・テレサの言葉。まさに「自分は誰からも必要とされていない」と感じていた私に向けて呼びかけてくれている言葉だ。

 記憶が確かならば、実はこの本は「落ち込みモード」に陥る数日前から手元にあったはず。だが、何となく開かないままに机の片隅に置いたままになっていた。つい先程開いたら、上の言葉を見つけた。

 もう少し早くこの本を開いていれば、落ち込むこともなかったのかもしれない。けれども逆に、自信を失っていないときにこうした言葉を読んでも、「そんなものかもな」ぐらいにしか思わなかったかもしれない。「自分は必要とされていない」と嘆いた直後に「こんな自分でも必要とされているじゃないか」と感じさせてくれた出来事の訪れ。その直後だから、なおさらマザー・テレサの言葉を素直にしっかりと受け止められるようにも感じる。一連のことがセットになって私の心に刻まれた、そう思える。

 これからも私の「誰からも必要とされていないと感じる病」は発病することだろう。しかし、今回の一連の出来事で、私の「免疫力」がちょっぴり高まった気がする。私の重い「病」に対する、神様の「処方箋」だったのかもしれない。