雑炊

 大学生の時のこと。文化祭にサークルで、鶏雑炊屋を出店した。

 先輩の味付けがとても美味しく、大好評だった。

 味に自信を持って、通りかかった老夫妻にも声をかけた。

 すると、「戦争の頃を思い出すから食べられなくてねぇ。ごめんね」と言い残して通り過ぎていった。

 雑炊を食べていると時々思い出して、私の茶碗の雑炊も、ちょっぴり複雑な味になる。