「しておくと、喜ばれるよ」

 就職直後、給湯室の使い方や物がしまってある場所などを、一つ上の女性の先輩が教えてくれた。
 そして、最後に添えてくれた一言。


 「流しを使った後は、こうやって拭いておくと喜ばれるよ


 普通なら、「拭いておいてね」とか、「拭いておいた方がいいよ」と言う台詞が出てくるところでは無いだろうか。だけど、その方は「喜ばれるよ」と。

 「〜しなくてはいけない」、「〜してはいけない」、「〜したほうが良い」という考え方は、誰でもするし、そう教えられて育つだろう。

 こういった社会的規範の根底には、当然「〜したら喜んでもらえる」、「〜したら嫌がられる」といった意味合いがあるだろう。

 しかし、その方は、身の回りの人たちがどういう気持ちになるかということを、より明確に意識して、とても大切にしているのではないだろうか。

 ごく単純な、短い一言。しかし、この「しておくと、喜ばれるよ」という言葉は、15年以上経った今でも、強く印象に残っている。(実践できていないのが最大の問題なのであるが、見習いたいという気持ちはずっと持ち続けてはいる…(汗))