タケノコ掘りに行ってきた。



 タケノコ掘りに行ってきた。仕事中に。

 といっても、もちろん仕事をさぼっていったわけではない。業務の一環としてである。

 私の職場にはモウソウチクの実験林があって、そこで継続的な調査が行われているのだが、毎年出てくるタケノコを放置しておくと、竹が密生しすぎて荒れた竹林となってしまう。また、隣接した住宅地へ侵入していってしまう可能性もある。放置された竹林の問題はあちこちで報じられているとおりである。そこで、毎年この時期になると竹の密度を調節するために、職員総出でタケノコを掘りに行くのである。

 密度管理をするだけなら、蹴飛ばしたり鍬で潰してしまうだけでも良いのであるが、それではやはり勿体ない。そうかといって、タケノコを出荷するために手入れされた竹林ではないので、売りに出せるほどのものは採れない。また、僅かではあるが「ご褒美」があった方が、職員もやる気になるだろう。そんなわけで、掘ったタケノコは自家消費用として配布される。

 初めのうちは調子よく鍬を奮うのだが、次第にペースが落ちて休憩している時間が長くなった。作業は1時間半ほどで終わったが、陽気のせいもあり、すっかり汗だくになってしまった。明日(明後日?明明後日?)は筋肉痛になるかも知れない。今日は皆、重いタケノコを担いで家路についた。

 ところで、私の職場は独立行政法人。傍目には「あそこの職場では勤務時間中にタケノコを掘って、換金して財源に充てることもせずに自分たちで勝手に消費している」と映るのではないかと、近頃のこのご時世の中、色々と気を遣うようになってきている。来年もこれまでのようにタケノコ掘りが行われるかどうか、雲行きは怪しい。何だか世知辛い世の中になってしまった気もするが、それが世間の常識というものなのだろうか。