角砂糖のように

紅茶に溶ける角砂糖のように、消えて無くなってしまいたい。
以前、そう思った時は枕元にあった薬という薬を手当たり次第に飲んだ。
気がついた時には、病院のICUにいた。


妻が見つけて、大急ぎで病院に連れてきてくれた。
母が電話の向こうで、涙声で「私より先に死んじゃ、嫌だよ」と言った。
職場の先輩が駆けつけてくれ、心配してくれた。


今、再び、紅茶に溶ける角砂糖のように、消えて無くなってしまいたいと思う自分がいる。
躁状態の私を、特に躁状態の私の言動を、妻は理解してくれない。
一番理解して欲しい人に、一番味方になって欲しい人に、分かってもらえない。


いっそのこと、消えて無くなってしまいたい。だけど…


残された妻は、どうなるのだろう?
両親を悲しませたくは無い。職場の先輩や友人も。


それに、どうやって消えるのがよいのだろう?

首でも吊るか?ビルから飛び降りるか?発見者が気の毒だ。
電車か道路に飛び込むか?鉄道会社への補償は半端じゃない。私を轢いたドライバーは気の毒すぎる。
海か川に身投げするか?捜索されるのだろうな。大変な作業だ。土左衛門の発見者は、さぞ気持ちが悪いのだろうな。


それに、まだまだ気になることが。
仕事の資料がきちんと整理できていない。
きちんと整理して、引き継ぎをしないと重要なデータが使えなくなる。


結局、こんなことを考えている今の自分には、消えて無くなる勇気は無いんだな。良くも悪くも。
そうかといって、妻に理解してもらうための術は思い付かない…